審査結果発表

7月に都内で審査会が開催され、NIPPON DESIGN 壁紙アワード2019の大賞受賞者が決定いたしました。
大賞は韓国から応募してくださったJeong Da Eunさんの作品「Flow」が選ばれました。
Jeong Da Eunさんおめでとうございます。

大賞受賞:Jeong Da Eunさん

作品名:Flow

【壁紙デザイン】
【コンセプトシート】
【空間イメージ】

作品コンセプト

I designed the pattern by taking the motives of the pattern inspired by the fingerprints.
I expressed the intertwined lines of motive fingerprints in a complex relationship between people and people,
and I wanted to express the way of living in harmony with various people.
The communication between people and people was expressed by a series of motives gathered together to create a new streamlined shape,
the new shape expressing a relationship that has been sustained and changed.

私は、指紋からインスパイアされたモチーフを用いてこの柄をデザインしました。
人と人の間の複雑な関係を指紋の絡み合った線で表現し、また多様な人々と調和した生き方を表現したいと思ったのです。
人と人の間のコミュニケーションは新たに創造された一連の秩序だって集まっている形により表現され、またこの新しい形は持続し変化する関係を表しています。

作者プロフィール

Jeong Da Eun

I was born in Korea, and I am currently attending third year at university majoring in Living and Culture Design.
In school I am learning to design products, patterns, interior design, space design, and so on.
Among them, I am very interested in interior design and pattern design.
After graduation, my motto is to do my best at every moment to have a positive influence as a designer.

韓国出身で、現在は生活と文化のデザイン専攻の大学三年生です。
大学では、プロダクトデザイン、パターンデザイン、インテリアデザイン、空間デザイン等を学んでいます。その中でも、インテリアデザインとパターンデザインに非常に興味を持っています。
卒業後は、デザイナーとしてポジティブな影響を与えられるよう、あらゆる時も最善を尽くすことをモットーとしています。

受賞者のコメント

First of all, thank you very much for giving me this big award that I didn’t expect.
I’ve always been interested in Japan and travel frequently,
so this award means a lot to me. As a student trying to grow into a good designer,
this award will be a great foundation for me to grow in that direction.
Thank you very much for giving me this valuable experience.

まず初めに、このような大きな賞をいただき、誠にありがとうございます。
全く予期していませんでした。私は日本に興味があり、頻繁に旅行に行っています。なので、この賞は私にとって大きな意味を持ちます。
良いデザイナーになることを目標としている学生として、この賞は私がその方向に成長するための素晴らしい基盤となるでしょう。
このような貴重な経験を与えていただき、本当にありがとうございます。

審査員コメント

伊藤 真一
受賞作”FLOW”はコンペのテーマである「これまで」と「これから」を結ぶ新しい“NIPPONDESIGN”に対してフィンガープリントの線を用いて人と人との結びつきを表現している。受賞候補となった数点の作品の中には商品としての完成度の高い作品もあったが、この作品にみられるコンセプトの奥行、表現の強度とオリジナリティを評価した。製品化の際にはリピートの範囲、スケールの調整などいくつかの課題があるが、このテクスチャーが具体的にどのように壁紙として表現されるのか楽しみである。
山﨑 晴太郎
「これまで」と「これから」という、二つの意識を如何に壁紙という空間の中に再解釈し、落とし込むかが求められた。軸足を「これまで」に置くものと「これから」に置くものが、ある種明確であった印象がある中で、本作は、明らかに「これから」に軸足を置いたものである。東京2020のタイミングということもあり、様々な業界で日本らしさの再構築、再解釈が提案されている中、本作は明らかに新しい意匠性にチャレンジしたものである。指紋という多様な文化と背景を持つ個の象徴を一つの平面に落とし込む様は、多様性に向き合っていくこれからの一つの日本の姿を体現している。空間においては、単純な文様のパターンとしてコンセプトほどの違和感がなく空間に佇むであろう点も評価した。
島田 由子
縄文土器を思わせる圧倒的な物質感のあるデザインに、果たして壁紙として適しているのだろうかと、非常に迷いました。何かを描くというより、彫塑のような力強い造形性、繰り返し模様のようで、見ていると入り込んでいきそうな神秘性、決して綺麗とは言えないのに、味わいのある深い色合い、計算された無作為なのか、作為的な無秩序なのか、対峙していると考えずにはいられない、私にとっては禅問答を強いられる作品で、それは他の作品にはないものでした。そして、この壁紙に人は何を思うのだろうかと思った瞬間、不思議さが漂う新しい壁紙として、大賞にふさわしい作品と判断させていただきました。

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